Otocare Fuji Iyashi no Mori – November

Created by Nick Luscombe (MSCTY), Hikari Sandhu, Yu Morishita

November 15th 2020
Transmission starts at 1 pm JST

As the world is experiencing an unprecedented global pandemic, we are increasingly exploring a new normal to build our everyday life. The role of Otocare Fuji Iyashi no Mori is to unravel how sound and music can enrich our experience of the forest, and how, in turn, the natural environment can inspire the way we listen to and appreciate sound in nature. We will be discussing, a form of sound made by forest and music, potentials in our new places, and the future relationships between the forest and ourselves.

Date:November 15th, 2020
Time:13:00~15:45
Location: UTokyo Fuji Iyashinomori Woodland Study Center (FIWSC)
Type: Not open to public onsite / Open online

「Otocare 富士癒しの森」

今世界的パンデミックの中で、私たちはこれまでの当たり前が大きな変化を向かえています。大きな変革の渦にいる一つが音楽の世界です。人との交流の制限によって、音楽業界はコンサートの開催が困難になるなど、新しい音楽の形を求められてるなか、私たちは音楽と自然の新しい関係性に注目しました。Otocare Fuji Iyashi no Mori では、5組の音楽演奏を介して、森と音楽が作る音の形、私たちの新しい居場所、そしてこれからの人と森の関係づくりについて考えます。

日程:2020年11月15日
時間:13:00~15:45
場所:東京大学富士癒しの森研究所



Sound Path Through the Forest:

Performers Include:

Emiko Miura – toy piano

Emiko Miura is a pianist, arranger and composer. She performs using the toy piano, melodica, piano and synthesiser. Her work   connects classical, modern composition and experimental electronics.

三浦永美子

ピアニスト、編曲者、作曲者。トイピアノ、メロディカ、ピアノ、シンセサイザーを演奏する。クラシック、近代作曲、実験的エレクトロニクスに繋がる演奏をする

Played @

February 13th, 2021 ~ 29 days / Radio: BBC Radio 3 / Playback @ 01:29:41~01:35:48 / https://www.bbc.co.uk/sounds/play/m000s8dz

Masanori Oishi – solo saxophone

Masanori Oishi is a Tokyo-based saxophonist who has earned recognition as a dynamic player with an energy that allows him to reflect the sonic scope of a wide variety of music – from works by modern composers to improvisational pieces.

大石将紀

東京に拠点を置くサクソフォン奏者。力動的でエネルギーに溢れる表現によって、現代音楽から即興的音楽まで幅広い音楽ジャンルの演奏をする。

Chihei Hatakeyama – guitar, keyboard, laptop

Chihei Hatakeyama is an ambient electronic music artist who processes guitars, pianos, and vibraphones to create slowly evolving aural landscapes. He is known for being incredibly prolific and has released over 70 albums since 2006.

畠山地平

東京出身のエレクトロニックミュージックアーティスト。2006年に最初のフルアルバム、Minima Moraliaをリリース。畠山の音楽は、ラップトップでギター、ピアノ、ビブラフォンを繰り返し処理することによって作曲され、特徴的に非常に遅いのが特徴。2020年現在70枚以上のアルバムをリリース。

Nobuhiko Chiba (Hawhawke) & Mari Ono – tonkori

Nobuhiko Chiba (aka Hawhawke) sings and plays the tonkori  – a traditional Ainu five-stringed harp instrument that evokes different landscapes through the use of simple, repetitive melodies. Chiba has been involved in the Ainu music community since 1990 when he began studying Ainu music and instruments under the tutelage of Ainu elders in Hokkaido and the Kanto Region (Tokyo).

千葉伸彦(別名 Hawhawke

トンコリ奏者。トンコリとは、アイヌ文化に伝わる5本の弦によって構成されている琴型の楽器であり、伝統的なシンプルで反復する奏法により異なる風景を想起させる。1990年以来アイヌ音楽文化やアイヌ音楽教師より楽器を学び、現在伝統的なアイヌ音楽の美しさと文化的価値をより多くの聴衆に広めている。

Mari Ono

A vocalist working in music, space science, and cultural education. Ono also closely works with Ainu music culture to connect people, astronomy, and its culture with hope for a better understanding of humanity and nature.

おのまり

主に音楽を軸とし、宇宙科学、民族文化伝承、の3つの分野をつなぐ活動を行っている。関東アイヌ民族の文化伝承団体「レラの会」に所属し、うたで人と繋がり、星で広い視点を持ち、民族伝承で多様な価値観の共生を生むことを、日々志している

Chor Fujimarimo – local philharmonic chorus

Founded in 2011. 18 women and 9 men members (avg. 71 years old) voluntarily run the group with a vision of bringing voices in Yamanaka Lake. They sing Japanese traditional and popular songs.

コール・ふじまりも(山中湖混声合唱同好会)

2011年「山中湖に歌声を」を動機に創立、現在有志による女性18名、男性9名の会員からなる。平均年齢は71歳。クラッシックから日本の歌、ポピュラーを持ち歌として混声合唱活動を実施中。

Documentation Team:

Film: Sam King Film
Live Narrow Casting: Henry Morse

Researches Include:

Cyber Forest: Akio Fujiwara (Fuji Iyashi no Mori): Forest Informatics
Listen to the Fuji Iyashi no Mori Sound Live from Cyber Forest

Morikatsu de Kenkou (Promotion of Health through “Mori Katsu” = Activities in the Forest)「森活で健康」は山中湖村と東京大学大学院農学生命科学研究科附属演習林富士癒しの森研究所との地域交流に関する協定に基づく共同プロジェクトです。

Biometric Measurement: Hikari Sandhu, Yukiko Matsunaga (Institute of Industrial Science)

Acoustic Measurement: Mitsuru Yabushita (YAB Corporation)

Postscript:

「Otocare」は、空間における音の可能性を再読する取り組みです。これまでに、音楽療法のプリンシパルを用い、自然音と音楽を用いた楽曲を、普段は音が極力遮断されている、病院環境で流す実験などを行ってきました。自然環境と都市環境におけるそれぞれの音の役割、人と空間、音が交差する場所について初心に戻り考えています。

これまでにコンサートホールやライブハウスなど、いわゆる建築の箱は、想定された音楽を正しく奏でるために、想定された人の集まり方を演出するために作られて来ることが多かったと思います。そのような箱の中における音の世界の活動が制限されている今日は、二つの方向性を試す良い機会だと考えています。一つはそのような箱のあり方を変えることで、これまでの活動を継続できるように考えること、もう一つは箱から出て、これまでとは異なる環境に、音楽(音)をする場所を探すことです。今回は後者の実験を想定しました。よく、「Think Out of the Box」 という表現が使われますが、その場合、箱の外に出て、なお箱のことを考える、というニュアンスが、特に建築関係の界隈では常態化しています。今回は、「Off the Box」、箱のことは忘れ、森を音楽をする場所として、音を奏でる場所としてみることで生まれる、異なる可能性を探求できるよう、「富士癒しの森」の研究者の皆さまと機会を作りました。

音楽という観点からは、屋内のように音が響かないこともあります。先月現地にて実施した音響計測では、コンサートホールよりも歌舞伎の芝居小屋に近い響き方をするということがまず初見として把握されました。また、鳥の声が背景音ではなく、目の前の環境として音楽の一部になるかもしれませんし、音を聞く側は、固定席で聞こえて来るものを享受するだけではなく、それぞれが聞こえやすい場所を探すことも、森は可能にするのかと想像しています。このような見識から、音響計測の方法に関しても今後検討が必要と感じられました。

今回、いわゆる観客席は決まった場所に設けず、声や音が小さければ近寄り、より鳥の声を混ぜたければ遠くへ足を伸ばし、森という空間を自由に歩きながら、音がある森を感じることも今回の実験の一部と考えています。異なる状態の森の地面が奏でる自分の足音、笹と触れ合う裾の音も、演奏の一部となるかもしれません。異なる状態に管理されている森へ、移動しながら音を体験することと同時に、音を媒体として森の空間を再読できればと思います。

この取り組みは、演奏会と呼ぶことも出来る傍ら、音を通した森の体験会ともとらえられます。実験会、でもありますが、今回は科学的に精密な計測を行うのではなく、参加者全員で、森を楽しみ、また時には不安に思い、時間を共有することで、新しい気づきを共有することが大切でした。

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